すっぽん雑炊

京都・大市の「粥」

大人になっても、食べず嫌いのまま過ごしてしまう人が多い食材の代表が、おそらくスッポンでしょう。滋養豊かで、上手に料理されたものはきわめておいしいにもかかわらず、なじみのある食材とは言えないようです。

スッポンは古代より中国では宮廷料理として珍重され、日本でも登呂遺跡からスッポンが出土するなど、つきあいの長い食材です。そのわりに現代日本人になじみが薄いのは、生き血が出されるのが気味悪いとか、調理法がいまひとつで泥臭かったなどのマイナスイメージがあるからでしょう。

元禄時代から続く京都のスッポン料理の老舗・大市の商品で、スッポンを試してみてはどうでしょうか。きっと、味覚の幅がひろがります。

大市は約2000度にもなるコークスでいっきに土鍋を熱する料理法で有名です。そのおいしさが、ビンに詰まっています。写真の「粥」はスッポン雑炊用のビン詰め。鍋にあけて一煮立ちさせ、お茶碗に軽く一杯分のご飯を入れて加熱し、最後に卵でとじるだけ。

黙って出されれば、「いったい、これはなんの雑炊だ?」と、そのうま味のもとを不思議に思う人ばかりでしょう。おいしいスッポンのスープは、ていねいに作られたコンソメに勝るとも劣らない。古来より、珍重されてきた理由がわかります。

「そのわりに、『月とスッポン』というではないか」 という突っ込みが入りそうですが、この場合のスッポンは、甲羅が丸いことから、「同じ丸いもの」の代表として登場しています。

月も丸い、スッポンも丸い。しかし、月とスッポンはまったく違う、というたとえ*。スッポン鍋のことを「○鍋」(まるなべ)という通り、スッポンは○の代表だったのです。

寒さが一段と厳しさを増してきました。栄養面からも、「雑炊で締めたいな」というときにぴったりの商品です。(F)