ぬか床
マルイ漬物のぬか床。すでに熟成されたぬか床なので、面倒な下準備なく、すぐに漬け始められます。
一度にできてしまう野菜を保存し、長く楽しむ工夫が漬物です。たんに日持ちするだけでなく、別のおいしさが増す上、生野菜のまま食べるより、ビタミン類を多く摂取できたりするのですから、科学の眼で見直せば見直すほど、その凄さを実感します。
塩漬けは古代より人類が発見した保存法で、漬物の基本です。塩が雑菌を殺す一方、塩に強い乳酸菌が生き残って酸を出すため、ますます雑菌を寄せつけないという好循環。野菜も肉も魚も、塩漬けによって腐敗を免れたのです。
さらに日本では、江戸時代に入ってから、素晴らしい発明がなされます。ぬか床の発明です。
ぬか床は米ぬかを使った「乳酸菌培養装置」です。塩漬けだと一カ月はかかる乳酸発酵を、たった一日でやってのける促成漬物装置でもあります。この時期だと、ぬか床の中にキュウリを半日もぐりこませておくだけで、漬物ができあがるくらい高性能です。
素晴らしい点はそれだけではありません。ぬかが含むビタミンB1を摂取することができるのです。ここが凄い。
日本人が米ぬかを手にしたのは、精米した白米を食べるようになった江戸時代のことでした。しかしそれによって、ビタミンB1が不足するようになり、「江戸患い」がはやってしまいます。現代用語でいうと脚気(かっけ)です。
精米した後の胚芽部分を使い、作られたのがぬか床です。ぬか床で野菜をおいしく、長く楽しめるようになっただけでなく、ビタミンB1を摂取できるので、江戸患いの予防にも役立ちました。ぬか床は、ビタミンという概念も、乳酸菌という概念もなかった時代のものとは、とても思えないほど合理的な、世界に誇れる発明なのです。(F)














