アサリ(浅蜊)

アサリアサリは生命力が強く、パックの状態でも生きています

アサリ同一種で模様がこんなに多様なのは、とても珍しい。模様は遺伝するそうです

貝塚から大量に出土する貝殻は、アサリのそれです。太古の昔から沿岸部に棲息し、日本人に恵みを与えてくれたのは、この貝でした。

マルスダレガイ科の二枚貝で、ハマグリとは仲間です。汽水域を好み、北海道から九州までの沿岸部のほか、朝鮮半島や中国の一部にも住んでいます。

汽水域とは、海水と淡水が混じりあい、海水よりも塩分濃度の低い「汽水」(塩分濃度0.05%‐3%)がある区域のことです。すぐ想像がつくように、川から淡水が流れ込む河口域がその代表例です。

川が運ぶのは淡水だけではありません。山の恵みも運ぶのです。たとえば、源流域にブナのような広葉樹林があると、堆積した葉が腐植土を形成しています。雨が降ると、そこからバクテリアが分解したフルボ酸がしみだして、海まで運ばれます。

フルボ酸は植物が吸収した鉄分を一緒に運んでおり、この鉄分が汽水域の植物プラントン量と関係があることがわかっています。山の恵みの有機物と無機物の両方を、川が運んでおり、汽水域を好むアサリのような生物は、その恩恵を受ける一方、堆積する有機物の分解に役立ったりしているのです。

アサリは、ともかくおいしいという特徴をもっています。それだけでなく、水から出しても、塩分濃度が高くても生きられるという生命力の強い貝でもあり、流通に適しています。

写真のような、水のないパックの状態でも、新鮮なものは生きています。塩水に浸けて、砂抜きをしてから調理してください。この砂抜きは、アサリをリフレッシュし、おいしさを取り戻すという効果ももっています。(F)