イカナゴ(玉筋魚)のくぎ煮

くぎ煮神戸・誠味のイカナゴくぎ煮

くぎ煮古釘を抜くと、まさにこんな感じ。「釘煮」の名がぴったりです。

くぎ煮春を感じながら、おいしいご飯!

関西、それも神戸方面の春の風物詩が、イカナゴくぎ煮です。この間まで寒い寒いと言っていたつもりが、もうくぎ煮の季節となりました。

イカナゴはスズキ目イカナゴ科の魚で、稚魚の段階では「小女子」(コオナゴ)、「新子」(シンコ)などと呼ばれます。名前の由来には諸説ありますが、おもしろいのは、「いかなる魚の子なりや」という質問が誤解されたという説。カンガルーと似ています。

解禁と同時に水揚げされた新子は、すぐに釜揚げにされて店頭にならびます。これを乾燥させたものが「カナギ(小女子)ちりめん」、そして佃煮にしたものが「釘煮」です。

この時期に神戸の垂水地区あたりを歩くと、いろいろなお店にくぎ煮が置かれているのはもちろん、ご近所同士でわけあう場面をみることもあります。くぎ煮を多めにつくり、ご近所に配るコミュニティができているのです。

しかし、調べてみると意外なことに、この風習は比較的新しいのです。くぎ煮の発祥は、1919年(大正8年)に創業した「魚友」という神戸垂水区のお店です。

1935年(昭和10年)、魚友に別荘地に住んでいた方から、「いかなごを佃煮にしてくれないか」という依頼があったのがその発端。試行錯誤の末、完成した佃煮は大評判となり、1960年代に神戸市垂水漁協の組合長が、その出来あがりの姿から「釘煮」と名付けたのだそうです。(F)

歴史は新しくとも、すっかり根付いた春の風物詩。素敵な風習だと思います。