イタリア料理の心

「イタメシ」という言い方をしてしまうほど、日本でもすっかりおなじみの料理となったイタリア料理。おいしいですよね。イタリア料理といえば、トマトとオリーブオイル、それにチーズと小麦粉を思い浮かべます。写真のドライトマトも、イタメシを代表する食材のひとつです。

しかし、よく考えてみますと、トマトは南米(アンデス地方)原産の作物ですから、イタリア料理をトマトが代表するのも、ちょっとおかしな話。そう思って調べてみると、イタリアにトマトが伝わったのは16世紀以降のことだそうです。これは、韓国料理におけるトウガラシと似ています。キムチをはじめ、さまざまな料理にふんだんに使われるトウガラシですが、韓国に伝わったのは16世紀のことでした。

また、トマトを多用するのは南イタリアの料理であって、北イタリアの料理はバターや生クリームを多く使うのだそうです。地方によって料理が異なるのは、当然の話。日本のお雑煮のバリエーションの豊富さと同じでしょう。

ただ、イタリアのいろいろな地方の料理を見るたびに、イタリア料理の精神というか、やはり共通項があると感じます。第一に、肉料理、魚料理、野菜料理のいずれにおいても、素材のよさを生かす料理が多いこと。生野菜をソースで食べるバーニャ・カウダ(ソースで煮込むタイプのものもあります)など、典型例でしょう。第二に、ハム、生ハムをはじめ、豚肉を上手に使うこと。

そして第三に、ローマ時代のガルム(魚醤)の名残でしょうが、アンチョビを味付けに使うことです。バーニャ・カウダもそのひとつ。香辛料使いがうまいのも特色だと思いますが、これは、古代ローマの時代より地中海が東方世界との交易の中心であり、文化の交差点だったからでしょう。(F)