イチョウ(銀杏)

イチョウ

銀杏

この時期の香りといえば、代表格はイチョウでしょう。正確にはギンナン。独特の匂いは、けっしていい香りとはいえませんが、見事に黄葉した落葉とともに、日本の秋の風物詩になっています。

中国原産のイチョウ科の木で、雌雄異株。植物学上は針葉樹です(ちょっとびっくり)。ギンナンがなるのは、雌の木のみです。葉に切れ込みがあれば雌の木、なければ雄の木という見分け方もありますが、これは俗説で、植物学的に根拠のある見分け方ではありません。雌雄関係なく、若いイチョウのほうが深く切れ込みが入る傾向にあるようです。

ギンナンは、そろそろ恋しくなる茶碗蒸しの具としておなじみ。炒って塩で食べると、立派な酒のつまみにもなります。あの独特の香りのおかげで、動物はなかなか手を出さないそうです。ヒトが数多く拾えるのは、そのおかげですね。

鎮咳去痰作用や強壮作用があるといわれるほど、ギンナンには薬効が認められています。だから逆に、一度にたくさん食べるのは勧められません。とくに子どもは、数を制限したほうがいいそうです。もっとも幸か不幸かギンナンは「大人の味」であり、ギンナンが大好きという子どもはあまりいないのですが。

ワープロが普及をはじめたころ、「胃腸が大きくなりすぎたので、切ってご近所に配りました」という誤変換を見つけて、びっくりしたことがあります。もちろん、大きくなりすぎたのは胃腸ではなく、銀杏です。

「切ってご近所に配った」というところが注目。イチョウは数ある木材の中で、最もまな板に向く、と言われる木なのです。固いが、表面に弾力があり、油分を含んで水をはじき、殺菌作用ももっている。プラスチックまな板が、「包丁に負けない」という感触をもっているのに対し、イチョウのまな板は、「包丁をやさしく受け止める」という感触になります。お勧めです。お料理が一段と楽しくなりますよ。(F)