クズ(葛)



和菓子や、和食でとろみをつけるためによく用いられるのが、葛です。葛は秋の七草のひとつになるくらいで、この時期にきれいな花を咲かせるマメ科の植物。この名がついたのは、奈良の国栖(クズ)という村が、葛粉の産地だったからといいます。国栖は和紙の産地としても有名な吉野川(紀ノ川)ぞいの村で、壬申の乱(672年)の前夜、大海人皇子が逃げ込み、匿われたところでもあります(能の「国栖」はそれを表現しています)。
その繁殖力の強さから、家紋のモチーフにもよく用いられます。かつての里山では、葛のツルを切って加工品を作っていたので、繁殖力は自然と制限され、ヒトと葛と自然はいい関係をつくっていましたが、近年では野放しにされることが多く、ときに木の成長を妨げる邪魔な存在とみられることもあるようです。
その根から、良質のテンプンがとれます。しかし、この作業が大変。寒さ厳しい冬のさなかに、山に入って地中深く生えている根を掘り起こします。その根を繊維状に粉砕して水と混ぜ、根に含まれる澱粉をもみだすのです。これが、吉野本葛です。
吉野は紀伊山脈につらなる高地で、冬の寒さと水の冷たさは格別。この環境で精製された葛粉は美しい白色です。1kgの葛根からとれるのは、たった100グラムの葛粉だそうです。葛根には発汗、解熱作用のある成分が含まれており、古くから「葛根湯」(カッコントウ)として、漢方薬にも用いられてきました(精製された葛粉は葛根湯とは違い、薬効となる成分はほとんど含まれていません)。














