シュトーレン(Christstollen)
紀ノ国屋のシュトーレン
ナッツ類を入れて豊作を祈ります
「もういくつ寝ると、お正月」
12月下旬になると、日本の子供たちがお正月を数えて待つように、ドイツの子供たちは、12月上旬にウキウキとしはじめます*1。
彼らが待つのは、12月6日。この日が、聖ニコラウス祭*2なのです。5日の夜には、靴をピカピカに磨いて眠りにつきます。わざわざ靴を窓際に置く子供もいます。その夜、街を通りかかった聖ニコラウスが、1年間いい子だった子供の靴にキャンディをしのばせてくれるからです。
同じころ、正確には聖ニコラウス祭の少し前から、大人はクリスマス準備を始めます。アドベント(降臨節=イエス・キリストの降誕を待ち望む期間のこと)です。リースを飾ったり、ドレスデン発祥のパンを焼いたりします。このパンが、シュトーレン*3です。
クリスマスの4週間前に焼き上げるわけですが、すぐには食べません。この形と、上にたっぷり粉砂糖をふりかけてつくる「白」は、キリスト生誕のときのおくるみ姿を模したもの。これはクリスマスの準備の品なのです。
焼き上がったシュトーレンをそのまま寝かせ、クリスマスに向かって、薄くスライスし、少しずつ食べていきます(家によっては、事前に食べず、12月25日に食べることもあるようです)。シュトーレンを食べた回数で、クリスマスが近づくのがわかるというわけです。
また、ここがとてもよくできているのですが、シュトーレンは寝かせるほどに熟成し、おいしくなります。たとえば、毎週日曜日に少しずつ食べていくと、そのたびに熟成による味の違いまで楽しめてしまうパンなのです。
シュトーレンを焼く習慣は14世紀にドレスデンで始まり、もとは豊作を祈るおめでたいパンだったといいます。ナッツなどをたくさん入れるのが、その証拠。次の年の豊作を祈るパンが献上品となり、クリスマスに結びついたそうです。
もともとクリスマス自体が、中東にあった冬至の日の収穫祭に結びついた風習ですから、シュトーレンがクリスマスに結びつくのも自然という気がします。(F)
注記
*1 「いい子」にはキャンディだけれども、「悪い子」にはムチだったりするそうで、子供によっては「ウキウキ」ではなく、「ドキドキ」かもしれません。
*2 聖ニコラウスのオランダ語読みが「シンタ・クラース」です。アメリカに移民したオランダ人コミュニティで続いていたシンタ・クラースのお祭りをアメリカ社会が受け入れたとき、「サンタ・クロース」が誕生し、12月6日ではなく、12月25日にプレゼントする習慣となり、かつ中身も派手になったのです。
*3 ドイツ語のStollenの発音から、「シュトレン」と表記することも多くなっています。












