ハラン(葉蘭)の智恵



自宅近くを散歩していたら、銀杏並木の足元に、ハランが育っていました。このように大ぶりの青々とした葉をいつも繁らせており、蘭の名がついていますが、じつはユリ科の植物です。「バラン」と呼ぶ地方もあります。
日本家屋の庭には、必ずといっていいほど、ハランが植えられていました。日陰でもよく育ち、いつも緑のうるおいを与えてくれる植物です。
しかし、理由はそれだけではありません。この葉をみて、なにか思い出しませんか。そう、お寿司屋でよく使われる、あの葉がハランです。
昔は弁当作りにも使ったものです。ハランの葉を切って、ご飯とおかずの仕切りなどに使います。飾り包丁をいれて、上をギザギザに切るとかっこいい。葉が大きい上に比較的固く、しっかりしているので、仕切りにぴったりなのです。
いまどきの弁当は、緑色のプラスチック製のシートが、仕切りとなっています。これがもともと、ハランの仕切りを模したものであることは、もうすっかり忘れられているかもしれません。
ハランをこうした目的に使うのは、とても理にかなっているのです。この葉には防腐作用があります。植物のチカラを生かす、まさに智恵。パスツールが微生物学を発展させるはるか以前から、人類は塩を使ったり、ハランの葉を使ったりして、食べ物の安全を確保していたのですから、たいしたものです。
防腐作用をもつ葉を生かした例は、他にもいろいろあります。笹寿司のササもそうですし、柿の葉寿司のカキの葉もそうです。
もっとすごいのは竹皮で、防腐作用があるのはハランやササやカキと同じですが、通気性があるので、中身が蒸れない。おにぎりを竹皮に包んで持ち歩いた昔の日本人に、プラスチックを使う私たちは智恵の面で負けているのかもしれません。(F)














