パルマの生ハム

生ハム

豚フィレ肉のサルティンボッカ風/span>

食の歴史をひもとくと、まっさきに気がつくのが、塩を使いこなしたことの重要性です。塩は味をととのえるだけでなく、有用な菌を生かし、無用な菌を除菌するという、素晴らしく高性能な殺菌剤でもありました。野菜や魚や肉に塩をふっておくだけで、発酵し、保存食となるのです。

再び、『「塩」の世界史』(マーク・カーランスキー著、扶桑社)によりますと、ローマ人はピアチェンツァ、パルマ、レッジオ、モデナ、ボローニャ、アドリア海沿岸を結ぶ街道「ヴィア・エミリア」を建設し、商業と文化の中心としたそうです。ポー川の周辺です。そしてこの地方の農業は、<商品を陸揚げできる港と農業に必要な塩の産地にめぐまれて栄えた>といいます。

この中でパルマは、香りのよい良質の生ハム(プロシュット・ディ・パルマ)を産出することで、昔から有名でした。これには、パルマの地形と地元で発展したチーズ産業と関係があると前掲書は指摘しています。

<海からの風が山頂に当たって雨を降らし、乾燥した風が吹き降ろす平野に位置するため、ハム作りには最適である。この乾燥した風が、塩漬けの豚の脚を腐敗させることなく乾燥、熟成させるために必要なのだ。>(『「塩」の世界史』, p.96)

チーズ産業とのかかわりは、豚に与える餌との関係です。パルマとレッジョにはさまれた牧草地で作られたチーズ=パルメザンチーズ(パルマとレッジョなので、「パルメジャーノ‐レッジャーノ」と呼ばれる)と生ハム作りが結びつき、パルメザンチーズを作る過程で出てくる乳清を豚の餌としたのです。チーズ作りと生ハム作りが街道を通してやってくる塩で結びついたのが、パルマという土地でした。

イタリア料理における生ハムの使われ方をみていると、日本の食文化における干し貝柱などと共通点があるな、と思います。そのまま食べても美味。しかしそれだけでなく、加熱調理するものに使うと、旨味と風味で料理をさらにおいしくしてくれるのです。豚フィレ肉のサルティンボッカ風でその一例をご紹介していますので、ぜひお試しください。(F)