原木なめこ(滑子)


秋の深まりとともに、キノコもおいしくなってきました。もともと晩秋に、ブナやクヌギなどの倒木に生えていたキノコが多いのです。萌える若葉の頃から夏を経て、冬に入るまでの森のサイクルのひとつでした。
キノコの生態が判明するにつれ、人工的に栽培することもできるようになりました。代表格はシイタケ。江戸時代に伊豆・天城山で天然シイタケを採集していた石渡清助が、人工栽培に成功した記録が残っています。寛保元年(1741年)のことです。
もともと、天然木からシイタケを採集した際に、目印のためナタで切り傷をつけておいたら、たくさんシイタケが出た、ということから、人工的に栽培する環境を工夫したようです。その自然観察力に脱帽です。江戸時代の日本は、当時の世界では群を抜く園芸大国だったのですが、その実力が、キノコの世界にも発揮されているようです。
この人工栽培法はいまでも続いていて、原木栽培といいます。自然の倒木にキノコが生えるのと同じ環境をつくり、木(ほだ木という)に菌を植えて発生を促す栽培方法です。あくまで人工環境ですので、「天然」の修飾語は使えませんが、環境を自然のそれにあわせているため、天然ものにとても近い風味と味わいのキノコが育ちます。
最近になって出回り始めたのが、原木のナメコです。茹でたナメコの真空パックは便利ですが、やはり風味や歯ごたえでは原木ナメコにかないません。素晴らしい風味と歯ごたえで、天然のキノコを求めて、山に採集に出かける人の気持ちが理解できるようになります。ともかく、飛び切りおいしいのです。
紀ノ国屋の原木ナメコは、洗ってゴミを取り除き、根元を切り落とすなどの下処理をしていますので、すぐにお料理に使っていただけます。ナメコは火が通ると、ぬめりが増します。これはサトイモやオクラなどと同じムチン。採集してから時間が経過している場合は、ぬめりに酸味が出てくるので、水洗いして使います。
私は今朝、味噌汁にしてみました。新鮮なナメコのぬめりをとるのはもったいないので、水洗いせずに鍋に投入。他人に教えたいような、教えたくないような、おいしい味噌汁に仕上がりました。(F)














