日和見菌のはなし
クマノミはイソギンチャクと共生していますが、メリットを享受しているのはクマノミだけのようです。
日和見菌のこの動きは、人間社会と共通?!
クマノミとイソギンチャクといえば、思い出すキーワードは「共生」です。
他の魚がイソギンチャクに近づいて触手にふれると、刺胞に刺されてしまいます。しかし、クマノミは大丈夫。これは、クマノミがイソギンチャクと同質の粘液を体表に出しているためです。
はっきりいえば、クマノミはイソギンチャクをだましているのです。イソギンチャクの触手がクマノミに触れても、粘液が同質であるため、クマノミを外敵だと認識しない。だから刺胞も反応せず、刺さないという仕組みになっています。
人間の身体の中にも、共生関係があります。腸の中です。「外敵」が入ってきたことを検知するのは腸で、腸の中で外敵を発見した瞬間、免疫機構が発動します。たとえば、病原性大腸菌O-157を腸が発見した瞬間、身体は外にだそうと頑張ります。外敵だと検知するからです。
同じ「細菌」でも、腸が反応せず、人間と共生する菌もたくさんあります。いちばん有名なのは、たぶんビフィズス菌でしょう。腸の中にあって酸をつくる乳酸菌として知られている「善玉菌」の代表です。
善玉菌は、腸内の環境を整え、発ガン物質の分解に活躍したりします。その一方で、「外敵」というわけではないけれど、悪さをする悪玉菌も腸には住みついています。理化学研究所の弁野義己博士によりますと、健康な人間の腸内は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=10:20:70の割合になっているとか。
この「日和見菌」が曲者で、日頃はいいこともしなければ、悪いこともしないのに、善玉菌が5%くらいまで減ってしまうと、突如、悪玉菌の味方をするそうです。「これは人間社会の縮図か」と思ってしまうようなせめぎあいが、腸内で起きているとは、知りませんでした。
ストレスで胃腸の調子が変わることは、誰もが経験していますが、実際にストレスがかかると、一晩で善玉菌が全滅することもあるとか。日頃から、善玉菌である乳酸菌と、乳酸菌のゆりかごとなる食物繊維の摂取に、気を配っておく必要がありそうです。
ヨーグルトだけでなく、乳酸発酵の進んだしば漬やすぐぎ漬、キムチなども、乳酸菌の供給源としてすぐれています。細菌の存在さえ知らない時代から、こうした発酵食品をつくり、食べてきたのは、まさに智恵ですね。(F)














