本みりん
白扇酒造の本みりん「福来純」の3年もの。琥珀色に色づいています。昔はお屠蘇として飲んだそうです。
和食のレシピをみると、数多く登場するのが「みりん」(味醂)です。たとえば蕎麦つゆの作り方をみても、みりんが登場しますし、煮物では必需品といっていいでしょう。
味醂はお酒の一種です。しかし、こう書いただけで、驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。「甘味調味料だと思っていた」(お料理に甘みをプラスするものだと思っていた)という方に出会ったこともあります。
たしかに味醂は甘いのですが、その甘みは砂糖の甘みではありません。麹菌のアミラーゼがもち米のデンプン質を糖化することに由来する甘みです。そのうえ、醸造にあたって焼酎などのアルコールを追加するため、アルコール発酵が抑えられ、糖があまり消費されません。仕込み方の似ている日本酒では、その糖がさらにアルコール発酵で分解されるため、甘みが味醂ほど残らないのです。
みりんはお酒の一種であるため、酒税法の対象となりました。また、1996年に規制が緩和されるまでは、酒類販売免許のないお店では、販売できなかったのです。みりんを売れるスーパーマーケットと、売れないスーパーマーケットがあった、ということです。
このことが、新しい調味料を生み出しました。酒税のかからない含有アルコール1%未満の液体に、化学調味料や水飴などを加えて、みりんの風味に似せた「みりん風調味料」です。これなら、酒類販売免許がなくても売れますし、酒税をおさめる必要もありません。
一方で、こうした「○○風調味料」と区別するため、昔ながらの仕込みで作られたみりんを「本みりん」と呼ぶようになりました。本みりんは日本の発酵技術のたまものであり、複雑な甘みとうまみ(醸造によって生じるコハク酸やアミノ酸)をもっていますし、良質のアルコールがお料理の香りを高め、匂いを消してくれます。
沖縄の古酒がそうであるように、焼酎のような醸造酒は、寝かせれば寝かせるほどおいしくなります。コハク色に色づいた本物の味醂を、いちどお料理に使ってみてください。フランス料理にワインが活躍するように、和食には味醂が活躍するということが、実感できることと思います。(F)














