松福(まつふく)
神戸・誠味の松福
風味豊かな松茸と昆布の佃煮。山椒の実も効いています。
ご飯が止まりません。
イカナゴのくぎ煮でご紹介した神戸の誠味。いちばんの名物は「松福」という名の昆布の佃煮(つくだに)です。
松福は松茸(マツタケ)と昆布の佃煮です。だいたいこの手の食品は、「松茸」の形だけはあるものの、たいして香りがない、というのが通り相場ですが、松福は違います。食べてみて、びっくりしました。しっかりと松茸の風味が香る、おいしい佃煮です。
アクセントに山椒の実が入っており、じつにご飯がおいしい。人工添加物を極力使わず、ていねいに作られていることがわかります。北海道の道南でとれる天然真昆布を、少量ずつ直火でじっくりと炊きあげるそうです。
昆布を洗うところから数えると、三日間がかりで作り上げる松福。たしかな素材と伝統の技が融合するおいしさを感じる食べ物です。
ところで、日本の歴史に「昆布」が登場するのは古く、『続日本紀』(797年)に朝廷への献上品として登場しています。その後、室町時代あたりから、北海道(蝦夷地)との交易が盛んになり、庶民の口にも入るようになりました。
関東と関西を比べると、昆布の文化は関西のほうが発展しているように思います。これは、蝦夷地との交易ルートによるもの。小さな舟で沿岸を見ながら航行する沿岸航法で昆布が運ばれたのですが、その代表的なルートは日本海沿岸を下り、敦賀から琵琶湖を経由して京都・大坂へと運ばれるものだったのでした。
このルートに加え、下関から瀬戸内を回るルートをあわせて、最近は「コンブロード」という言い方をすることもあります。松福を食べながら、昆布を運んだ北前船の姿を想像するのも楽しいですね。(F)














