桜餅
紀ノ国屋探仙庵の桜餅
これは関東風(長命寺餅)です。
関西風の道明寺餅もあります。
桜を目で見て楽しむだけでなく、その香りも楽しむのが日本人。といっても花ではなく、その葉です。桜餅は、塩漬けにした桜の葉で包みます。なんともいえない芳香は、日本のハーブだ、と言ってもいいほどです。
その香りの源は、桜の葉が含むクマリンという物質。通常は葉の中で、糖分子と結びついて安定した状態にあるため、香りません。それをちょっと乾燥させて破砕したり、塩蔵したりすると、クマリンが生成され、香るようになるのです。桜の葉を塩漬けにして保存したのは、すばらしい知恵だと思います。
桜餅には関東風と関西風があります。関東風は別名を「長命寺餅」といい、小麦粉や白玉粉でつくった記事で、餡を包みます。関西風は別名を「道明寺餅」といい、うるち米を使った粒状の道明寺粉でつくった皮に、饅頭のように餡を包んだものです。
長命寺餅は、1717年(享保2年)に徳川八代将軍・吉宗が隅田川・向島に植えた桜の葉を使って、向島長命寺の門番・山本新六がつくりあげたので、その名があります。吉宗は江戸の街に、いまでいう公園をたくさんつくった人物でもありました。
以後、長命寺の山本屋の桜餅は、江戸名物となり、100年後の1824年(文政7年)には、年間38 万個以上も作られたといいます。これも、江戸文化の豊かさを示す実例でしょう。(F)
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