発酵と腐敗
契約農家がつくった国産大豆だけでつくった贅沢な納豆(高畠納豆)
これを「発酵」というのは、結果がヒトに有益だからです
たまに「豆富」という表記を見かけることがあります。「豆が腐っているというのでは、イメージが悪すぎる」というのでしょう。
豆腐は中国伝来の食べ物です。日本と中国は同じ漢字を共有していますが、その意味が異なることも多いのです。たとえば「走」。日本語では「はしる(Run)」という意味ですが、中国語では「あるく(Walk)」です。
豆腐の「腐」はもともと、納屋で肉を熟成させるさまを表す字です。そこから転じて、柔らかくて弾力性のもあるものを示すようになりました。したがって「豆腐」は、「豆を加工してできた、柔らかくて弾力性のあるもの」という意味です。「豆富」より、よほど内容を示しています。
そもそも「腐る」ということに対して、私たちは悪いイメージを持ちすぎている気がします。もちろん、腐敗は食品衛生の敵です。しかし、「食べ物に微生物が働きかけて、変質させる」ということを利用した食べ物も多いのです。
その代表が納豆でしょう。お漬物もそうですし、お酒もそうです。納豆菌や乳酸菌、酵母などの微生物が食品のある成分に働きかけ、変質させます。その結果が、人間にとって都合のいいものなら「発酵」と呼び、そうでないものを「腐敗」と呼んでいるだけのことです。
人類の長い歴史の中で、冷蔵庫を手にしたのはまだわずか数十年のことにすぎません。伝統的な食品は、多くの場合、微生物を上手に利用しています。パスツールが科学的に解明するはるか昔から、私たちは微生物とのつきあい方を知っていたのです。(F)














