石臼とマスタード

ファローのマスタードには、左のナチュラルシード入りタイプのほか、粒なしのディジョンマスタードや各種ハーブを組みあわせたものなどがあります。

ファロー(Fallot)のマスタードは、いちど使ったら病み付きになるおいしさ。ファローは1840年に創業したフランスの名門です。

おでんには和からしか、ゆず胡椒を使いたいですし、ソーセージにはマスタードをあわせたい。たいてい、マスタードには酸味がつきものです。写真のナチュラルシード入りマスタードの場合、原材料は「マスタードシード、ホワイトワイン、酢、塩、スパイス」。さわやかな酸味と香りの中に、ちょっとした刺激があり、組みあわせるお料理をひきたてる香辛料です。

ところで、世界で評価の高いファローのおいしさの秘密は、石臼挽きにあるそうです。臼で種子を挽くと、どうしても摩擦熱が発生します。石は熱伝動性がきわめて低いため、熱くなりにくい。

臼ではなく、鉄のミルのほうがミルを設計しやすいし、扱いやすいし、能率もあがるのですが、種子を挽き始めるとすぐに摩擦熱で熱くなり、マスタードの風味を損なってしまうのです。ファローは、創業以来ずっと石臼にこだわっているのだそうです。

この話、なにかと似ていますね。そう、ソバです。ソバ粉作りでも、まったく同じ理由で、石臼が尊重されます。ハイテクがローテクにかなわない例のようで、ちょっと痛快です。(F)