紅茶

紅茶紀ノ国屋の紅茶。産地直送のフレッシュな茶葉です。

紅茶は日本茶と同じく、チャノキの葉からつくられる飲み物です。チャノキはツバキ科の植物で、中国南部が原産とされており、そこから東では低木のチャノキが、西では高木のチャノキ(アッサムチャ)が栽培されています。

紅茶は、8〜15メートルにも達する高木のアッサムチャから摘み取った葉と芽を乾燥させ、もみこんで発酵させたもの。日本茶との違いは発酵の有無です。この発酵は、茶の葉が含む酸化酵素による酸化発酵であり、微生物による発酵ではありません。

この飲み物の伝播ぶりこそ、人類の行動力と食への好奇心を示すものでしょう。中国語のcha(チャア)が、ヨーロッパにまで伝わりteaとなったのです。なにしろ、アジアとヨーロッパの境界線に位置するトルコまでは、ほぼ日本人が「チャ」と発音しても通じます。

余談ですが、阿佐ヶ谷で「茶居花」という名の喫茶店を見た瞬間、「トルコかイランに関係がある」と思った記憶があります。トルコ語やペルシア語など西アジアの言語では、「チャイ」が紅茶を、「ハナ」(もしくはハネ)が家を示すからです。つまり「チャイハナ」(チャイハネ)で「喫茶店」という意味になります。

さて、とくに紅茶に熱狂したのは、周知の通り、イギリスでした。東インド会社の設立(1600年)とも関係があるでしょう。そのイギリスでは、おいしい紅茶の入れかたについて、長く論争がありました。「カップにミルクを先にいれ、そこに紅茶を注ぐのが正しい」派と、「紅茶を先にいれ、そこにミルクを注ぐのが正しい」派に分かれていたのです。

この論争に決着をつけたのが、2003年6月に英王立化学会(The Royal Society of Chemistry)が発表した研究成果です。イギリスの権威ある化学会が大まじめに研究した成果によると、<ティーバッグではない茶葉(リーフティー)と軟水を使い、牛乳は先にカップに注いでおくことなどが最善の作り方>だといいます。そう発表しつつ、「英国民の半分はこれを宣戦布告と受け取るかもしれない」(Half the population of Britain will take this as a declaration of war.)と断るのですから、じつに面白い。

その理由は、「熱いお茶にミルクが注がれると、少しずつミルクが高温のお茶に触れることになり、そのせいで変性が起き、重要な風味が損なわれる」(If milk is poured into hot tea, individual drops separate from the bulk of the milk, and come into contact with the high temperatures of the tea for enough time for significant denaturation - degradation - to occur.)からだそうです。もっともこれは、低温殺菌牛乳に限っての話かもしれませんが、いずれにせよ、微笑ましくて楽しい研究成果ですね。あ、それと、この研究のおかげで、日本の水は軟水なので、紅茶向きということもわかりました。硬水を使うと、アクが出てしまうそうです。(F)