花見

花見

花といえば桜と相場が決まったのは、平安時代のことだったようです。それ以前は梅を愛でていました。ウメもサクラもバラ科の植物で、よく似ています。香りではなんといってもウメですが、満開のサクラが示す一生懸命さ、花びらの色が示す誠実さ、そして散り際の潔さが、日本人の心をとらえてやまないのだと思います。

いまはソメイヨシノが全盛ですが、これは江戸時代末期につくられた園芸品種です(園芸品種をあわせると600種以上あるといわれています)。古くから有名なサクラは、ヤマザクラ、オオシマザクラ、エドヒガンなどの自然種です。

サクラほど、逸話の残る花も珍しいかもしれません。田植えの時期を教えてくれるサクラ(苗代桜)もあれば、「太平洋から日本海まで、桜の街道を作りたい」と植樹を続けた人がいますし(映画やドラマになっていますから、ご存じの方も多いでしょう)、村人が大切に守ったサクラも各地にあります。

落語の世界で花見といえば、「長屋の花見」でしょう。貧乏長屋の住人が、大根をカマボコに見立て、タクアンを玉子焼きに見立て、番茶を薄めたものをお酒にして、ワイワイガヤガヤとをするお噺。落語ですから内容が極端ですが、しかし、こうした工夫こそ、料理の神髄かもしれません。最近流行の「キャラ弁」にも通じるところがあります。

そろそろ東京では、花見の時期となりました。サクラをさらに楽しむには、なんといってもおいしいお料理とお酒。既成概念にとらわれず、創意工夫をしたお弁当をつくってみてはいかがでしょうか。(F)