苺(イチゴ)
さちのか
果だと思っているのは花托(かたく)で、果実は表面の粒々です
イチゴがますますおいしくなっています。イチゴはクリスマスを控えた12月に出荷最盛期を迎えますが、本来の旬は春。日本の山でも、春先に分け入ると、ヘビイチゴや野イチゴと呼ばれるワイルドストロベリーが育っています。
ワイルドストロベリーもストロベリーも、バラ科の多年草です。ストロベリーの和名は「オランダイチゴ」ですが、これは江戸時代にオランダから伝来したからです。オランダの農園で、バージニアイチゴとチリイチゴから作り出されました。
当初は、鑑賞用の植物として伝来したそうです。いまでいうと、トウガラシを鑑賞用に育てるのと同じ感覚でしょうか。そのイチゴを「おいしく食べられるもの」にしたてあげたのは、新宿御苑の生みの親でもある福羽逸人・農学博士でした。博士が育てたイチゴを「福羽苺」といいます。
福羽苺は、宮内庁専用の作物でした。それを「一般のお客様に食べて頂きたい」と尽力されたのが、銀座千疋屋初代社長の斎藤義政氏でした。大正13年6月のことだったといいます。その成果として、市民向けの福羽苺が千疋屋の店頭に並んだのは、昭和5年のことでした(『くだもの百科』)。
以来、品種改良の試みは今日にいたるまで、全国で続けられており、いろいろな品種が登場しています。写真の「さちのか」は、「とよのか」とアイベリーの交配種。糖度が高く、ビタミンCが豊富な品種です。
このほか、既にご紹介した「あまおう」や、「とちおとめ」「あきひめ」(章姫)「さがほのか」「女峰」「アイベリー」「アスカルビー」など、いろいろと特徴のあるイチゴが作出されています。
それぞれの味わいや香りが微妙に異なるのを楽しめるのも、イチゴの魅力。食べるときは、太っているヘタのほうからいきましょう。甘さがより、ひきたちます。(F)














