醤油

醤油醤油のルーツ・湯浅の手づくり醤油(角長)

「醤」(ひしお)という字は「醤油」に使われるのみで、ほかではまず目にしません。もともとは食品を塩漬けしたものを示す言葉です。塩辛と同じ意味だと思っていいでしょう。

「肉醤」「魚醤」「草醤」「穀醤」など、塩漬けにする材料によって、いろいろなものがありました。古くから、塩には殺菌作用があり、塩漬けにすると食品を保存できることが、広く知られていたのです。

食品を保存できただけでなく、思わぬ発見もあったに違いありません。塩漬けしている間に発酵が進み、塩辛いけれども、おいしいエキスを手にしたのです。ナンプラーやニョクマム、ガルムなどがそうです。

日本でも秋田のしょっつるや石川のいしるのような、魚醤があります。しかしこれらは、あまり普及せず、大豆を原料とした植物性の「醤」が普及しました。これが醤油です。

日本の醤油のルーツは、伝承によると、和歌山の地です。鎌倉時代、北条政子の庇護を受け、和歌山の由良の地に興国寺を開山した無本覚心(法燈国師、1208年‐1298年)が、中国・鎮江の金山寺でつくられていた味噌の製法を伝えたのが、その始まりだといいます。

師が伝えた味噌は、いまでも金山寺味噌という名前で作り続けられています。味噌に刻んだ野菜を漬けこむもの。その結果できる「溜」(たまり)を調味料としたのが、日本の醤油の始まりだ、というのです。

大豆と麹と塩でつくる点で味噌と醤油は似ていますし、その証拠に、味噌造りの蔵は醤油造りの蔵を兼ねることも多い。また、和歌山県湯浅地域では、いまでも醤油造りが盛んです(F)。