鯛めし

切り身タイプの鯛めしがかんたんにできて、とってもおいしい。安愚楽(あぐら)の鯛めし
同じ名前のお料理でも、思い浮かべる内容が、出身地によって違うことがあります。たとえば「ジャコ天」。ちりめんじゃこをかき揚げにしたものを思い浮かべる人もいれば、すり身を揚げたさつま揚げのようなものを想像する人もいる。宇和島出身者だったら、もう、後者しかあり得ない、というような勢いのある反応をするかもしれません。
「鯛めし」もそのひとつ。私がこれまで食べた鯛めしは、4種類に分けられます。第一は、まるごとタイプ。土鍋ごはんにど〜んと、焼いた鯛をまるごとのせるものです。身をほぐし、よく混ぜてから食べます。
第二は、切り身タイプ。鯛まるごとではなく、切り身が一緒に炊き込まれているもの。よく混ぜて食べる点では同じですが、ちょっと上品な感じがしますし、骨の心配がなく食べやすい。でも、旨味の点では、まるごとタイプにちょっと譲る気がします。
第三は、お刺し身タイプ。ご飯に卵のタレをつけたタイのお刺し身と海草をのせていただきます。「鯛めし」と聞いて、第一もしくは第二のタイプを想像する人がこれを見ると、ちょっとびっくりします。もちろん、これはこれでおいしい。
そして第四は、そぼろタイプ。ご飯に鯛でつくったそぼろをあわせるものです。見た目は上のどれとも異なりますが、味わい深さは、第一のまるごとタイプに近い。手間がかかるけれども、おいしい鯛めしです。
鯛は縁起ものであるうえに、おいしいお魚ですから、日本人はいろんなバリエーションで楽しんできたということでしょう。ちょっと面白いのは愛媛県で、今治など東予地方、中予地方ではまるごとタイプ、宇和島などの南予地方ではお刺し身タイプを「鯛めし」と呼んでいます。お刺し身タイプは、日振島を本拠としていた伊予水軍が舟の上で食べた料理だといいます。そんな逸話と一緒に、今日まで伝わる郷土料理は素敵ですね。(F)














