Coca-Cola(コカ・コーラ)

当たり前のように日本にも普及しているコカ・コーラは、不思議な飲み物です。アメリカ人が大好きな飲み物、ということ以上に、詳しいことは知られていません。
日本の法律では、「清涼飲料水」という区分が用意されていますが、「おいしく飲んで、気分がさわやかになる」という飲み物のルーツは、18世紀のイギリスにまで遡ります。1767年にジョセフ・プリーストリーが、発酵中のビールから出る特殊な空気の研究から、二酸化炭素を溶け込ませたソーダ水を作り出すことに成功したのです。
このソーダ水は19世紀初頭にはアメリカに伝わり、広まっていきますが、その当時はむしろ薬効を期待されていたようです。1831年の生まれで、1886年にコカ・コーラを発明したジョン・ペンバートン博士が薬剤師だったのも、けっして偶然ではありません。
ペンバートンは「インカの聖なる木」として知られ、興奮作用があることが知られていた中南米のコカの木と、同様の薬理作用が知られていた西アフリカのコーラの木に目をつけ、新しい飲み物を工夫します。
ソーダ水とのコラボレーションでできあがった「さわやかな飲み物」は大評判(ヒットの背景には、1851年にメイン州で成立し、多くの州が追随をした禁酒法の存在がありました)。コカとコーラの成分からつくられたので、コカ・コーラというネーミングになったのです。コカの成分をそのまま使うとコカインも含まれますが、その毒性が認知されるようになった20世紀に入って、取り除かれました。
アメリカ人がコカ・コーラに熱狂した裏には、「アメリカの正義」があるようです。人々は、貧富の差にかかわらず、老若男女を問わず、気軽に口にしてカフェインを摂取できるさわやかな飲み物に熱狂したのでした。アメリカの民主主義の象徴として、です。コカ・コーラの「社会的価値」は、今日にいたるまで変わっていないように思います。(F)
参考文献
『世界を変えた6つの飲み物』(トム・スタンデージ著、インターシフト、2007)














